やあ、天狗堂です。

今回のテーマは「自己嫌悪感から立ち直る方法」です!!
自分はどうしようもない人間なんじゃないか…と悩む方は多いでしょう。けれどそこにはある「罠」が仕掛けられています。
それを解くことで自己嫌悪は乗り越えられるものとなります。
今回はそうした自己嫌悪の特徴と解消方法をご紹介しましょう。
※この記事は不安と憂鬱の解消法シリーズです。全般的な考え方を知りたい方は相談できない悩みや不安・・・お坊さんがわかりやすく解決方法を教えます!をご覧ください。
■目次
自己嫌悪ってどうして発生するんだろう?
自己嫌悪ってありますよね。自分のことを価値のない、みじめな人間だと思いこむ癖。
これって割と多くの人が悩まされていると思います。
で、そうした人たちって一様に、ある特性――例えば知性や業績、人気、魅力、健康、財産などを自分は持っていないと感じています。
けどこれって本当なんでしょうか?知性や業績がその人の幸せを決めるの?ビル・ゲイツみたいな財産がなければ人は幸せになれないの?

そうじゃありませんよね?しかしなぜそんな思考の罠に落ちてしまうのでしょう?
その答えを知るために、まず「自己嫌悪」が発生する仕組みからご紹介していきましょう。
自己評価の低さから憂鬱な気持ちが起きる
まず「自己嫌悪感は自分への評価が飛びぬけて低いことから起きる」ものだと考えましょう。
しかしそれはあくまで「評価」です。つまり自分自身が自分の価値を低く見積もっているのです。
ではこう考えてみましょう。
例えば一方にほとんど財産を持たないAさんがいます。もう一方でそれなりに財産を持つBさんがいます。
Aさんは自分の財産を他人と比べることをしません。なので財産が少ないと憂鬱になることはありません。一方でBさんは常にだれかと、どちらの財産が多いか比較し続けています。
Bさんが憂鬱になる理由がわかりますよね?彼は「財産」という物差しで他人と見比べるから、いつまでたっても自己評価を高めることができないのです。
拒絶が怖い!!
そうです!!この「間違った物差し」が問題なのです。
こうした物差しで自分を測ると、ちょっとした欠陥を全人格への否定に結びつけてしまいます。
例えばCさんは仕事上のミスを極度に恐れ、それが原因で激しいストレスを感じています。
――ちょっとしたミスは人間にはつきものじゃないですか。なぜそこまで恐れるんでしょう?
「ミスすれば自分がバカだと証明してしまいます。するとみんなが僕のことを軽蔑すると思うんです」
――そうなると、どういう結果が訪れるのでしょう?
「きっと今までの努力は全部水の泡になってしまいます。そしてこれ以後の人生もずっと負け犬として暮らすことになるんです」
――するとどうなりますか?
「自分の人生には何の意味もなかったことになります。最後まで虚しさを感じたまま生きていくなんて耐えられそうにありません」
皆さんも「変だな?」と思いましたよね。
お分かりのとおり、Cさんは常に「他人の評価や称賛」がなければ生きていけないと感じています。自分の価値を他人からの目線や仕事の評価で計っているわけです。
ですからCさんはいつまでたっても小さなミスを恐れ続けることになります。それもそのはずで、Cさんは常に最高の評価を与えられなければ、あとはすべて無だと思い込んでいるからです。
ある一点だけでその人の価値が決まるわけじゃない!!
Cさんの考えはあまりに不合理で極端だと思いますよね?ですが、自己嫌悪や憂鬱を感じている方にしてみれば、それはほとんど真実と同義なのです。
ではCさんは何をどう間違えているのでしょう?

第一に「仕事上の評価が彼の存在のすべてを決めるわけではない」ということです。
例えば権力、容姿、才能、人間関係――これらは人間の一つのパラーメーターであって、それを持たないからと言って無価値だということにはなりません。
事実、Cさんのように激しい自己嫌悪に陥っている方が、ほかの面では非常に恵まれていることは多々あります。
ですが、彼らはそれに気が付きません。なぜなら自分を測る物差しが決定的に間違っているからです。
落ち込んでいるときは明確に物事を判断できない
例えばオードリー・ヘップバーンは自分の容姿に激しいコンプレックスを抱いていたと言われています。

なぜ人はこのように良い環境や特性がありながら、自分にコンプレックスを感じてしまうのでしょうか?
その答えの一つに、
「気分が沈んでいるときは、物事のネガティブな部分にだけフォーカスして考えてしまう」
という人間の特性があります。
物事はつねに相対的なものなのですが、それを適切な位置関係で並べることが難しくなっているのです。
そこである点だけに異常に執着してしまい「○○が足りないから自分には価値がないのだ!」と落ち込んでしまうわけです。
自信がない、嫌悪感を感じる――こうした時、人はどんな精神的間違いを犯しているのでしょうか?
それを知るためには人生の悩みや迷い、その心配を徹底的に取り除く10の考え方をご覧ください。
Cさんの場合、完璧じゃなきゃダメなんだ思考が非常に強く作用しています。自分の失敗に過剰に意味づけをしてしまうため、ミスがあれば自分を無価値だと見なしてしまうのです。
カタルシスの発散では根本的な解決にならない
さて、一般的にうつ状態にある方には、
・他人に悩みを打ち明ける
・映画やドラマを見て感情を発散させる
・友人と気ままな会話を楽しむ
等の対処法がおすすめされます。
しかし、これまで見てきたことを合わせて考えると、こうしたカタルシスの発散は一時的に有効ではあっても、根本的な解決とはほど遠いことがわかります。
問題の根本にあるのは「あなたの思考や行動のパターン」です。これを実質的に変えなければ、自分に価値がないという気持ちを克服したことにはなりません。
自己破壊的な考え方や行動パターンを変えることが「戻らない」秘訣
客観的に見て誤った思考により自己嫌悪に陥っている方に「それは違うよ!」と諭したところで、一時的な反省はするでしょうが思考のパターンまで変えることはできません。
なぜなら彼らは何年もの間、自分を低く見積もる習慣を繰り返してきたからです。
この問題を解決するには、系統だったトレーニングを継続することで「思考のクセ」を変化させる必要があります。
以下の方法で思考のトレーニングを行うならば、きっと誤った認識のパターンを改善できるでしょう。
大事なのはあきらめず継続して行うことです。できるならば毎日の習慣のように行うことがベストでしょう。
やってみよう!!自己嫌悪からの脱出方法
さてさて、自己嫌悪は必ず「あなたの心が発する自己批判」からはじまります。
「自分はなんてダメなんだ」「取り柄が一つもない」「周りと比べて劣っている」
こうした自分を卑下する内面の声が、絶望的な感情を生み出し自己評価を下げているのです。
3段階のステップで考えてみよう

では、これを克服するためにはどうすればいいのでしょうか?まずは3つの段階を踏みましょう。
・自己否定的な感情が湧いたら、それをはっきりと捉えて記録する
・こうした感情がなぜ沸いたかを考える
・もっと合理的で妥当な評価ができないか考える
必要なのはこの3つです。特別難しいことではありませんよね?
あなたの考えをシートに書いて再検討してみよう
下の「自己評価の検討シート」は3つの段階を確認するために最適な方法です。
①まずはあなたの心にネガティブな気分が浮かび上がった時、その瞬間どんなことを考えていたかを「自己否定的な考え」の欄に書き込んでみましょう。
(注意:「自己否定的な考え」の欄には、感情的な言葉は書き込まないようにしましょう。「のろま」「馬鹿」「最低」などの感情的な言葉は合理的な評価へ結びつきません)

②次にその考えが次の10パターンに当てはまっていないか検討し、該当するものがあれば「誤った認識」欄に書き込んでください。
- 完璧じゃなきゃダメなんだ思考(完全主義)
- どうせ変わらないよ思考(常住観)
- 気分が絶対!思考(感情→認識のループ)
- ひねくれフィルター思考(ネガティブなものの見方)
- きっとこうなる思考(マイナス思考な予測)
- こうでなくちゃ思考(強固過ぎる常識)
- お先真っ暗思考(ネガティブのリピート)
- 大げさ・みじめ思考(狂った評価基準)
- この人はこうなんだ思考(レッテルによる苦しみ)
- 私が悪いんだ思考(すべてが自分の責任)
(こちらの詳しい説明は人生の悩みや迷い、その心配を徹底的に取り除く10の考え方のページで紹介しています)
③そして最後に、一番重要な「合理的な評価」欄を書き込みます。
「自己否定的な考え」欄と「誤った認識」欄を参考に、客観的に見てどんなアドバイスができるか書き加えてみましょう。
無理に明るく考える必要はありません。その代わり、あたかも他人にアドバイスするように、合理的で客観的なものの見方はどんなものだろう?と考えて書き込んでみてください。
ネガティブな気分には「カウント法」
さて、上のシートはいわば座学に当たります。そしてこれから紹介するカウント法は「実践」に当たります。
まず、何でもいいので回数を計る手段を用意しましょう。

このようなカウンターがあれば良いですが、他にも様々な手段で代用できます。
さて、これらを用いて、ネガティブな気分になる度に数字をカウントしてください。その日の終わりにその回数を記録し、日記につけてください。
できるならば上の自己評価の検討シートを毎日つけ、そこに書き足すとよいでしょう。
こうしてネガティブな気分をそのつどカウントしていくと、いつの間にかその数字が減り始める時期が訪れます。
「合理的でない思考を考え、わざわざネガティブな気分に陥っている」自分に気づけたなら、その癖に囚われる回数は減っていくはずです。
どうしようもない存在なんていない。人間は「何も記されていない書物」なんだ!!
さて、以上の話を読んであなたはどう思ったでしょうか?
「なんとなくできそう…」「いや、きっと変わらない」「だって私はどうしようもない人間だから…」
ではここで「どうしようもない」とはどういうことなのか考えてみましょう。
・どうしようもないとは具体的にどういうことでしょうか?
・変わらないことに理由はありますか?
・絶対的にどんなことをしてもダメな人間はこの世にいると思いますか?
・「ダメな行動」をしてしまうことを「ダメな存在だからだ」と理由づけていませんか?
・自分が劣悪な人間だと思い込む、そのことが問題をこじらせていると思いませんか?
・客観的に見てあなたは24時間どうしようもないことを続けていると思いますか?
上で考えてもらったように、多くの人は「行動や思考」と「存在」を混同して考えています。
ところで仏教には「無記」という考え方があります。
どんな悪事を働こうと、どれほど善行を積もうと、人の存在自体は「無記」、つまり真っ新な紙のようなものだと考えます。
つまりこの世に「どうしようもない存在」はいないのです。いるのはただ「自分のことをどうしようもない人間と思い込んでいる存在」だけなのです。

こう考えると、わかってくるでしょう。あなたが「自己否定を繰り返す自分を変えられない」と思うのは、あなたがそう思い込んでいるからです。
そうした思い込みに打ち勝つのは実践です。
できれば毎日でも上のシートとカウント法を続けてみてください。
あなたが変わりたいと思うことこそが、変化へとつながります。
まとめ
それでは今回のお話を簡潔にまとめてみましょう。
・自己嫌悪は誤った比較から起きる相対的なもの。自分の物差しが歪んでいれば自己評価も歪んだものになる。
・カタルシスを発散させることは短期的には良いことだが、長期的に見て「自分の思考や行動のパターン」を変える必要がある。
・その「思考や行動のパターン」を変えるためには「自己評価の検討シート」と「カウント法」が有効
・人は真っ新な紙のような「無記」である。いつでも、いつからでも自分を変えることはできる
これが「自己嫌悪感を克服する」ための最良の方法です。
ネガティブな気分はあなたの価値を決めるものではありません。そして無価値な人間などどこにもいません。なぜなら人はいつでも「無記」だからです。

とまぁ、今回の話はこれで終わりっ!!次回は「虚しさ」について考えてみましょう。ではでは~